ニュースの概要
スターバックスが、秋の定番として知られる「パンプキン スパイス ラテ」を今年も発売する。かぼちゃの甘みにシナモンやナツメグなどの香辛料を合わせた季節限定の飲み物である。今回の特徴は、スターバックス リワードの会員が29日から先行して購入できる点だ。一般の発売より前に会員だけが買える期間を設け、アプリ経由の来店や注文を促す狙いがうかがえる。毎年同じ商品を出しながら話題を保つ手法は、飲食に限らず多くの業種にとって参考になる。本稿では、この定番化の仕組みと、会員先行販売が持つ意味を整理する。
引用元: スターバックス「パンプキン スパイス ラテ」が今年も登場! リワード会員は29日から先行販売(グルメ Watch)
分析・見解
毎年同じ商品が話題になる「待たれる仕組み」
パンプキン スパイス ラテの強みは、新しさではなく「戻ってくる」ことにある。毎年ほぼ同じ味で登場するため、客の側に「今年もこの時期が来た」という季節の目印ができる。
新商品は認知を得るのに広告費がかかる。一方で定番化した季節商品は、発売日そのものがニュースになる。今回のように報道が出るだけで、告知費用をほとんどかけずに来店動機を作れる。
たとえば日本のコンビニの月見バーガー系商品や、春の桜味の菓子も同じ構造だ。期間が限られるからこそ、毎年「また買おう」という気持ちが生まれる。
会員先行販売が顧客の行動を変える理由
今回の先行販売は、単なる早売りではない。会員だけが先に買えるという仕組みは、アプリ登録やポイント利用の動機を強く後押しする。
一般発売まで待てる人でも、「先に手に入る」という小さな特別感があれば、会員になる理由になる。企業側にとっては、来店履歴や購入頻度のデータ(=誰がいつ何を買ったかの記録)を集めやすくなる利点が大きい。
さらに先行期間は、需要を前倒しで読める試験期間にもなる。初日の注文数や時間帯の偏りを見れば、一般発売までに人員や原材料の配分を調整できる。
秋の甘い飲み物が持つ価格と利益のバランス
季節限定ドリンクは、通常メニューより少し高めの価格を付けやすい。香辛料やかぼちゃペーストなど原価は上がるが、「今だけ」という理由が価格への抵抗感を和らげる。
また、ラテ系の飲み物は牛乳を多く使うため、トッピングや追加のシロップで単価を上げやすい。客単価を上げる入口として、季節商品は定番商品より有利に働く。
ただし、人気が出すぎると店舗の作業負担が増える。提供に時間がかかれば、他の客の待ち時間が延び、満足度が下がるおそれもある。売れることと、さばけることは別の問題だ。
定番化の落とし穴と、これからの課題
毎年同じだと、飽きられる危険もある。味を変えすぎれば固定客が離れ、変えなさすぎれば話題が薄れる。多くの企業が、基本の味は守りつつ、飲み方やカップのデザインで小さな変化を加えている。
加えて、物価や原材料費の上昇も無視できない。かぼちゃや乳製品の価格が上がる中で、価格を据え置くのか、内容量や品質で調整するのかが問われる。
今後は、会員データを使った個別の案内が進むだろう。過去に秋商品を買った人にだけ先行案内を送るなど、より細かな出し分けが広がるとみられる。
ビジネスへの影響
小さな店でも真似できる「年に一度」の看板商品づくり
大手でなくても、年に一度だけ出す看板商品は作れる。地元の果物を使った季節の一品でも、毎年同じ時期に出し続ければ、客は自然に待つようになる。
大切なのは、発売時期と商品名を毎年固定することだ。変えるのは中身の細部だけにとどめ、記憶に残る型を作る。
会員や常連への先行案内を、少ない手間で始める方法
アプリを自作する必要はない。LINE公式アカウントやメール、紙のカードでも、常連に先に知らせる仕組みは作れる。
先行案内の効果を測るには、案内を受けた人の来店数と、一般発売後の来店数を比べればよい。差が出れば、会員施策に投資する根拠になる。
人気商品を売るときに先に決めておくべき運用の準備
先行販売の前に、仕込みの量と提供の手順を決めておくことが重要だ。初日に品切れや長い待ち時間が出ると、せっかくの話題が不満に変わる。
数量限定にする場合は、残りの目安を店頭や告知で示すとよい。客は事前に分かっていれば、納得して待ってくれる。
最後に、原材料の価格変動に備え、販売価格の見直し基準を決めておく。利益が薄い人気商品は、売れるほど負担になる。
