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SPICE & CURRY BUSINESS REPORT

スパイスの仕入れと輸入

仕入れの選択肢から、輸入時の届出と検査、品質確認の観点までを整理します。

港の倉庫のパレットに積まれたスパイスの麻袋と木箱、奥にコンテナが見える様子

最終更新日:

ホールとパウダー、スパイスの「形」を知る

本ページの制度の説明は、食品衛生法の条文と厚生労働省の公開資料に基づく概要です。実際の輸入手続きや検査の要否は、品目と状況によって異なります。初めて輸入する場合は、届出予定の検疫所の窓口に相談してください。

スパイスを仕入れるとき、最初に決めたいのは「どの形で仕入れるか」です。同じスパイスでも、丸のままのホール、粗く砕いたブロークンやカット、薄く切ったフレーク、粒状のグラニュール、細かく挽いたパウダーなど、複数の形があります。新井清太郎商店の公式サイトには、輸入する品目ごとにタイプと産地が掲載されており、たとえばクミンシードやクローブ、カルダモン、スターアニス、胡椒、ナツメグはホール、ターメリックはフィンガーとパウダー、ガーリックはフレーク、グラニュール、パウダー、唐辛子はホール、粗挽き、パウダーと示されています。

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一般に、ホールは粒の形が保たれているため、使う直前に挽いたり、油で香りを移したりする使い方ができます。パウダーはすぐに使える反面、粉砕によって表面積が増えるため、保管の仕方によっては香りが抜けやすいと言われます。ブレンドは、複数のスパイスを配合した商品で、カレーパウダーなどが代表的です。どの形を選ぶかは、メニューの設計、仕込みの手間、保管スペース、仕入れの頻度によって決まります。たとえばスパイスカレーの店で、ホールを油で熱して香りを出す工程を提供価値にするのであれば、ホールの在庫管理が必要です。一方で、短時間で多くの食数を仕込む店では、パウダーやブレンドを使う場面が増えるでしょう。

形と同時に確認したいのが、殺菌や選別の有無です。カネカサンスパイスは、公式サイトで、輸入原料の選別殺菌から粉砕、配合までを大規模に行う設備を持つと説明しています。国内のメーカーや卸が扱うスパイスは、こうした工程を経て出荷されるものが多く、輸入した原料を自店で直接使う場合とは、必要な確認の範囲が変わります。

仕入れの経路を五つに分けて考える

スパイスの仕入れ経路は、おおむね次の五つに分けられます。事業の規模と目的に合わせて、複数を組み合わせるのが現実的です。

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  • 国内メーカーの業務用商品:ハウスギャバンやエスビー食品などは、業務用の商品情報や窓口を公式サイトに設けています。包装単位や規格は商品ごとに異なるため、公式サイトの商品情報や問い合わせ窓口で確認します。
  • 輸入卸・商社:小林桂や新井清太郎商店のように、産地から輸入して卸す事業者です。品目や産地の幅が広く、見積依頼や資料請求の窓口が設けられています。
  • 専門小売・EC:アンビカのように、スパイスをグラウンド、ホール、ミックスに分けて全国に販売するオンラインショップがあります。小口で試しやすい経路です。
  • 自社での輸入:産地から直接輸入する方法です。食品等輸入届出などの手続きが必要で、後述する検査の仕組みも理解しておく必要があります。
  • 産地や生産者との直接取引:現地の生産者から買い付ける方法で、輸入の手続きと品質確認を自分で担います。

どの経路にも、単価、最小の購入単位、納期、品質確認の手間という違いがあります。自社で輸入する場合は、単価が下がる可能性がある一方で、検査、通関、保管、為替のリスクを自分で負うことになります。多くの飲食店やブランドは、輸入卸から仕入れることで、これらの手続きを任せています。事業者の事実項目は【比較表】国内スパイスメーカー・輸入卸・小売で確認できます。

食品等輸入届出とは

スパイスを自ら輸入して販売する場合、食品衛生法第27条に基づく輸入の届出が必要です。条文は、販売の用に供し、又は営業上使用する食品、添加物、器具又は容器包装を輸入しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その都度厚生労働大臣に届け出なければならないと定めています。

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厚生労働省の「輸入食品監視業務」のページは、海外から日本国内へ食品等を販売などの目的で輸入する際に必要な手続きについて掲載しており、初めて食品等を輸入する人は、届出予定の検疫所または最寄りの検疫所窓口に相談するよう案内しています。また、届出の前に法令適用の確認を行う手続きや、電子申請による手続き案内も用意されています。

なお、営業届出制度との関係には注意が必要です。厚生労働省の資料では、食品又は添加物の輸入業は、公衆衛生に与える影響が少ない営業として、営業の届出が不要な業種に挙げられています。しかし、これは営業としての届出の話です。輸入の都度行う食品等輸入届出は別の手続きであり、不要になるわけではありません。また、輸入したスパイスを小分けして袋詰めして販売する場合は、食品を小分けする営業(食品の小分け業)として、営業許可の対象となる場合があります。厚生労働省の資料には、改正後の営業許可業種に「食品の小分け業」が加わったことが示されており、実際の該当は自治体に確認が必要です。

検査の仕組みとアフラトキシン

輸入された食品は、届出の内容審査に加えて、検査の対象になる場合があります。厚生労働省は、輸入食品監視指導計画に基づき、モニタリング検査と検査命令を実施しています。モニタリング検査は、輸入食品の違反の発見と傾向の把握のために行われるもので、違反が見つかった食品や、違反の可能性が高い食品については、食品衛生法第26条第3項に基づく検査命令が出されることがあります。

スパイスと関連が深いのは、カビ毒の一種であるアフラトキシンです。厚生労働省の通知では、総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)が10μg/kgを超えて含有しているおそれがあるため、として検査命令が実施されています。例として、令和元年7月17日付けの通知(薬生食輸発0717第1号)は、輸入時のモニタリング検査で中国産の花椒からアフラトキシンを検出したことから、花椒とその加工品を検査命令の対象に加える改正でした。一方で、令和8年3月30日付けの通知(健生食輸発0330第1号)は、インド産のトウジンビエと、パキスタン産のチリペッパー及びレッドペッパーについて、検査命令の解除要件を満たすとして、命令の対象から外す改正を行っています。令和8年8月17日付けの通知(健生食輸発0817第1号)でも、タイ産のチリペッパー及びレッドペッパーなどが、同様に解除されています。このように、検査命令は、検査の結果に応じて、産地と品目の組み合わせごとに加えられたり、解除されたりします。

検査命令の対象は、上記のとおり産地と品目の組み合わせで定められ、状況に応じて追加や解除が行われます。そのため、特定の産地の特定のスパイスを輸入する際には、厚生労働省の最新の通知を確認することが欠かせません。輸入卸から仕入れる場合は、輸入者が検査の結果を確認したうえで流通させているかを、取引先に質問することが一つの確認方法になります。

国内の事業者も、品質管理の取り組みを公式サイトで説明しています。カネカサンスパイスは、品質管理センターで、農薬が基準値以上残っていないか、日本国内で許可されていない放射線殺菌が行われていないかなどを検査し、検査に合格したスパイスのみを使用すると説明しています。代表挨拶には、残留農薬分析技術の開発やカビ毒のモニタリングに努めていることも記されています。こうした説明は各社の自己説明ですが、仕入れ先を比較する際に確認すべき観点を示しています。

小口で始める仕入れの実務

開業したばかりの店や、間借り営業の事業者にとっては、輸入や大容量の仕入れよりも、小口で試しながら使う量を見極める段階が長くなります。この段階では、複数の仕入れ先から少量ずつ取り寄せ、同じ品目でも香りや粒の大きさ、色味に違いがあるかを、自店のレシピで確かめるのが現実的です。メーカーの業務用商品は包装単位が商品ごとに異なり、ECで小口に販売する輸入卸や専門店もあります。

仕入れの頻度は、保管と在庫の持ち方と表裏の関係にあります。スパイスは、湿気、光、熱、においの移りに配慮した保管が必要で、開封後は使い切るまでの期間を意識します。大量に買えば単価が下がることがありますが、使い切れずに風味が落ちれば、結果として原価が上がります。使用量が安定してきた品目から、徐々に仕入れの単位を大きくしていく進め方が、無理のない選択肢です。

仕入れ先との取引条件にも目を配ります。支払いの条件、納品までの日数、欠品の際の代替の提案、返品や交換のルール、送料の負担などです。ECの場合は、注文の締め切りと発送のスケジュールを確認します。業務用の卸では、最低の発注単位や、取引開始時の審査が設けられていることもあります。見積依頼や資料請求の窓口は、比較表に掲載した事業者の公式サイトに設けられています。

価格の動きとトレーサビリティ

スパイスの価格は、産地の作柄、為替、輸送費などの影響を受けます。農林水産省の概況では、2022年にこしょう(乾燥)の輸入金額が前年比75.6パーセント増加しており、数量の増加率を大きく上回っています。帝国データバンクの調査は、カレーに使用するスパイスの価格が中長期的にも高止まりの傾向が続くとみられると述べています。価格の変動に備えるには、複数の仕入れ先を持つ、使用量の多い品目は在庫の持ち方を工夫する、価格改定のルールを決めておく、といった対応が考えられます。

トレーサビリティとは、食品がどこから来て、どこへ行ったかを追跡できる状態を指します。スパイスの場合は、品名、原産国、ロット、輸入者、検査結果、賞味期限、保管条件を、仕入れの都度記録しておくことが基本になります。新井清太郎商店のように産地を品目ごとに公開している事業者や、AIR SPICEのようにインドから空輸で仕入れていることを説明している事業者もあります。仕入れ先に問い合わせたときに、産地やロットを説明してもらえるかどうかは、取引を始める前の一つの目安になります。

仕入れ先に確認したい項目

  • 品名、原産国、形状(ホール、パウダー、フレークなど)と規格。
  • 輸入者の名称と、検査の実施状況。
  • 賞味期限、保管条件、包装単位、最小の購入単位。
  • アレルゲンや原材料の表示(ブレンド商品の場合)。
  • 不具合が見つかった場合の連絡と回収の体制。

これらの項目を一覧にして取引先ごとに整理しておくと、品質上の問題が起きたときの対応が速くなります。ブレンドや加工品を自店で作って販売する場合は、食品表示の観点も加わります。詳しくはクラフトコーラ・スパイス加工品とOEMをご覧ください。

一次情報の確認先

本サイトはスパイス流通・カレー業態・調合ビジネスを公開情報から整理した業界レポートであり、特定の店舗・商品・仕入先の推奨ではありません。スパイスやハーブに関する効能の説明は行いません。営業許可・食品表示・輸入手続きは保健所・消費者庁・検疫所等の公式情報をご確認ください。