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SPICE & CURRY BUSINESS REPORT

ブログ|業界コラム

間借りカレーはどう始める?許可と原価の基本

昼の共用厨房の調理台に、カレーの鍋とごはん、スパイスの瓶、メモ帳が置かれた様子

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の店舗・商品・仕入先の推奨ではありません。

始める前に決めておきたい三つのこと

間借りカレーは、飲食店が営業していない時間帯に、その厨房を借りて自分のカレー店として営業する形です。設備への投資を抑えて始められることから、スパイスカレーの開業の入口として選ばれています。ただ、始める前に整理しておかないと、あとから手戻りが出やすい点もあります。最初に決めておきたいのは、次の三つです。

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一つ目は、借りる厨房の条件です。使える時間帯、使える火口やオーブンなどの設備、冷蔵庫や棚の置き場所、洗い場の使い方、仕込みを行える時間を、貸主と具体的に取り決めます。二つ目は、営業許可と衛生管理の体制です。誰が営業許可を持つのか、食品衛生責任者は誰が務めるのか、衛生管理の記録を誰がつけるのかを、あらかじめ整理します。三つ目は、メニューと原価の設計です。仕込める量、提供の速さ、一皿の原価を踏まえて、無理のないメニュー数と価格を決めます。

帝国データバンクの調査は、カレー店の経営上のメリットとして、オーダーから提供までの時間が短いこと、仕込みに必要な食材を安価に調達できることを挙げています。間借りでは、こうした強みを生かして、メニューを絞るのが基本的な考え方になります。メニューが多いほど、食材の種類と在庫のロスが増え、限られた厨房の使い方も複雑になるためです。

メニューを絞る際には、仕込みの工程も合わせて考えます。ホールスパイスを油で熱して香りを移す工程や、玉ねぎを炒める時間など、手間のかかる工程は、借りた時間の中で完了できるかを確認します。前日に仕込んでおく場合は、冷却と保管、翌日の再加熱の方法を衛生管理の手順に組み込みます。提供の直前に仕上げる工程を少なくしておくと、営業時間内の動きが安定します。

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許可と衛生管理で確認したい点

飲食店を営む場合は、食品衛生法に基づく営業許可が関わります。厚生労働省の資料によると、2021年6月1日に完全施行された改正食品衛生法で、営業許可の業種は32業種に再編され、許可の対象外の営業には営業届出が求められる制度が創設されました。また、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。小規模な事業者は、厚生労働省が公表している手引書を参考に、簡略化した方法で取り組めるとされています。

間借りでは、許可の持ち方が論点になります。東京都の案内では、営業者が変わった場合は新たに営業許可の新規申請が必要としつつ、譲渡や相続などの場合には地位の承継が認められる場合があるとしています。名古屋市の案内には、施設ごとに食品衛生責任者の設置が必要と記載されています。時間帯を分けて別の事業者が営業する間借りの場合に、貸主と借主がどのような許可を持つ必要があるかは、制度の一般論からは確定できません。契約や準備に入る前に、営業所を管轄する保健所へ相談するのが確実です。

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相談の際に、次の点を整理して伝えると、話が早く進みます。

  • 借りる店舗の業態と、すでに持っている営業許可の種類。
  • 自分が営業する時間帯、提供するメニュー、調理の工程。
  • 仕込みを行う場所と、食材や調理器具の保管の方法。
  • 食品衛生責任者を誰が務めるのか。
  • 貸主と借主で、清掃や記録の役割をどう分けるのか。

制度の詳しい整理は、間借りカレー・スパイスカレー開業の基礎にまとめています。

原価を「価格から逆算」して考える

カレーの原価は、食材の価格が少し動くだけで大きく変わります。ここでは、考え方を示すために、仮定の数値で計算します。実際の価格や収益を示すものではありません。

仮定は次のとおりです。メニューはキーマカレーとごはんのセットで、1食あたりの材料は、ひき肉が100グラムで120円、玉ねぎが80グラムで32円、トマト缶が15円、油脂が12円、スパイス類が5グラムで15円、ごはんが81円、トッピングの卵が25円とします。合計は300円です。販売価格を税抜900円とすると、原価率は300円 ÷ 900円で約33.3パーセントになります。

ここで食材の価格が全体として1割上がり、原価が330円になったとします。販売価格を据え置くと、原価率は330円 ÷ 900円で約36.7パーセントになり、1食あたりの粗利は600円から570円に減ります。元の原価率に戻すには、原価を目標の原価率で割ります。目標を約33.3パーセントとするなら、330円 ÷ 0.333で、税抜990円ほどの価格が必要になる計算です。目標とする原価率は、店の方針や固定費、提供の形によって異なり、業界共通の正解があるわけではありません。

もう一つ、固定費の考え方も大切です。間借りでは、賃料が営業日ごとの按分になることが多く、固定的な費用の回収に必要な食数を、営業日ごとに計算できます。たとえば賃料などの按分が1営業日あたり5,000円(仮定)で、1食あたりの粗利が600円なら、約9食で固定費を回収できる計算です。このように、価格、原価、固定費、食数の四つを組み合わせて、無理のない目標を立てます。なお、人件費や決済手数料などはここに含めていません。

貸主との取り決めを書面に残す

間借りは、同じ設備を二つの事業者が使うため、取り決めが曖昧なままだとトラブルになりやすい形です。口約束で始めずに、次のような項目を書面にしておくと、営業が始まってからの食い違いを減らせます。

  • 使用できる曜日と時間帯、仕込みや片付けに使える時間。
  • 賃料、水道光熱費、備品の使用料の按分の方法と、支払いの時期。
  • 使用できる設備と器具の範囲、故障や破損が起きたときの対応。
  • 食材、調理器具、スパイスの保管場所と、貸主の食材との区分の方法。
  • 清掃とごみの処理の分担、衛生管理の記録の取り扱い。
  • 食中毒やクレームが起きたときの連絡と責任の分担。
  • 看板、SNS、メニュー表などでの告知の範囲と、屋号の使い方。
  • 契約の期間、更新の方法、解約の条件と予告の期間。

とくに、食品の安全に関する責任の分担は、貸主と借主の双方にとって重要です。同じ施設で食中毒が疑われる事態が起きた場合、営業の停止などの措置が施設全体に及ぶ可能性があります。事前に取り決めておくだけでなく、日ごろから衛生管理の方法を共有し、記録を確認し合う関係を築いておくことが、結果として双方の営業を守ることにつながります。

また、アレルゲンを含む食材の扱いも、貸主と整理しておきたい点です。カレーには、乳製品、小麦、ナッツ類など、アレルゲンとなりうる食材が使われることがあります。同じ調理器具や冷蔵庫を共有する場合に、混入を防ぐための区分と洗浄の方法を決め、お客様からの質問に答えられるよう、使用した原材料の一覧を整えておきます。

まとめ:許可の確認と価格の逆算から

間借りカレーを始めるときは、まず管轄の保健所に計画を相談して、許可と衛生管理の体制を確認します。次に、一皿の原価を積み上げて、目標の原価率から価格を逆算し、固定費を回収できる食数を見積もります。スパイスの仕入れ方によっても原価は変わるため、スパイスの仕入れと輸入や【比較表】国内スパイスメーカー・輸入卸・小売も参考にしてください。

制度や価格は変わります。この記事は、公開情報を整理した一般的な説明であり、個別の事業の収益や適法性を保証するものではありません。具体的な手続きは、保健所などの公式な窓口でご確認ください。

本サイトはスパイス流通・カレー業態・調合ビジネスを公開情報から整理した業界レポートであり、特定の店舗・商品・仕入先の推奨ではありません。スパイスやハーブに関する効能の説明は行いません。営業許可・食品表示・輸入手続きは保健所・消費者庁・検疫所等の公式情報をご確認ください。